こんにちは。
さて今日は気管支喘息の話。
気管支喘息(喘息ということもある)と、自律神経と脳と栄養状態が関係しているというお話です。
私はもともと呼吸器・アレルギー内科を経て、
父の開業を継いで一般内科診療をおこない、
現在はオーソモレキュラー(栄養医学)を中心に診療しております。
自分自身が小児喘息(中学で完治したものの、妊娠を機に再発、その後軽快)、幼少期の肌荒れ(今思えば、アトピー性皮膚炎)で結構苦しんだ過去もあります。
気管支喘息とは:気管支が炎症をおこして狭くなる疾患です。
呼吸困難や、咳、呼吸をするときにヒューヒュー・ぜーぜーという音(喘鳴)が聞こえることが多いです。
また咳とともに痰がたくさん出ることがあります。
気管支が狭くなって(狭窄)、低酸素になるのでますます苦しくなり(水に溺れているような)、
また酸素が不足して意識がもうろうとすることも。
気管支喘息の原因としてアレルギー、風邪やインフル・コロナなどのウィルスや、何かの菌によるもの、ストレスによるもの、刺激物の摂取や脱水などがあります。
ストレスには精神的なものの他に環境・物理的なものもありますので
例えばここ数日前のような温度・気圧の変化や台風なども、気管支喘息発作の引き金になります。
そして気管支は「自律神経」が支配しているので・・・
自律神経とは:自分の意志に関係なくバランスをとって、身体を生かしてくれる神経です。
気管支(息をするところ)が、自分の意志で作動したら大変です。
呼吸が止まったらいいのに、って止められたら命にかかわります。 肺停止ですから。
(少しだけ息をこらえることは自分の意志でできます。が、長時間呼吸を止めることはできません。)
気管支喘息の悪化の一つが気圧と申し上げましたが、なぜかというと、気圧に対してバランスをとるのも自律神経だからです。
自律神経バランスのいい方は、気圧の変化に対して、すんなりと自己調整を行えているのです。
自律神経がデリケートな気管支喘息体質の方は、天候不順だけでも自律神経支配の気管支が影響を受けて咳や喘息発作が起こるのです。
他に気圧が変わるとき・・・飛行機に乗る気圧が変化するうえ、機内は空気が乾燥しているので、喘息の方は辛いのです。
気圧の変化はなくても気管支喘息が悪化するケースとしては
静かな図書館とか、鑑賞会、映画館、電車に乗った時などにに「咳が出たらどうしよう」と思っただけで緊張し、
咳がでてしまうことも多々あります。
これが、自律神経と、気管支の連携です。
自律神経の司令塔(親分)は、脳です。
脳が疲れるような人生を送っていると、自律神経の調節がうまくいきません。
嫌なことがあった、喧嘩した、仕事が過労、試験勉強、・・・・・・・などがあると
気管支喘息は悪化しやすいのです。
時間でいうと、副交感神経と交感神経の働きが入れ替わる明け方頃に、気管支喘息の発作は多いです。
明け方に多い理由として、その自律神経の影響+寝ている間に水分不足(脱水)傾向になることも原因の一つでしょう。
気管支喘息は脱水になると悪化しますし、
また気管支喘息の発作を起こすと、咳や呼吸困難があって水分がとりにくくなりますし(むせる)、
咳が増えて呼吸回数も増えるので、ますます脱水になります。
ですので、気管支喘息の患者さまに強い薬剤を入れずに「点滴で補液」するだけでも、結構楽になることが多いです。
でも、発作が重度の時は、発作を抑えないといけませんので、
副腎皮質ステロイドホルモンや気管支拡張剤を使用します。
ステロイドというと敬遠される方がいらっしゃいますが、適切な使用方法を守れば
「抗炎症=疾患を抑える」効果がありますので、患者さんの命を救います。
でも漫然と使い続けるものではありません。
気管支喘息の治療に副腎皮質ステロイドの吸入を使用するのは、炎症を抑えるからです。
副腎ホルモンは、私たちの体の中にあって、常に身体を守るために働いてくれています。
いつもストレスがあることによって副腎皮質ステロイドホルモンがうまく働かなくなったら、気管支喘息を起こしやすくなります。
つまり
脳がストレスにさらされて~自律神経がデリケート
~気管支も炎症を起こしやすい=気管支喘息発作
~普段から副腎ホルモンもストレスで働きが低下
~気管支喘息の治りがよくない
~気管支喘息発作による体力の消耗など
~脳もさらに疲労する
だからストレスがあると気管支喘息はさらに悪化する ということです。
副腎は、全身の疲労などとも関係しますし。
身体はつながっているので。
オーソモレキュラー(栄養医学)では、どういう治療をするかというと・・・
副腎皮質ステロイドは自分の副腎から出ているものなので、
副腎のケア=副腎に必要な栄養=質の良いコレステロール、ビタミンC、B、マグネシウムや亜鉛などを摂取します。
ω-3系のあぶらも。
気管支の上皮には亜鉛も大切です。
そして、腸活。
喘息と腸?これが一番最初に行うケアかもしれません。
腸活を根気よく。
原因不明の咳(咳喘息や、心因性の咳も多い)で、淡々と継続して整腸剤、ビタミンミネラルなどの栄養素の補給や点滴をしたら
気づいたら咳が減って、ということもあるのです。
自律神経を整えて喘息を改善するには・・・
いやなことを解決(それができたら苦労はないが・・・とりあえず寝て・休んで気持ちを切り替える)、
試験や仕事が多い時こそ良く休む、よく眠る、
そして栄養のバランスを整えましょう。
精神ストレスがあるときこそ、バランスの取れた食事をとって、水分も摂ってみてください。
一例ですが
具だくさんのお味噌汁かスープ、蒸した野菜、魚or卵or豆or肉などの蛋白質、雑穀を混ぜたお米、亜麻仁油をかける、
欲を言えばぬか漬け、キノコもあったらいいですね。
繊維の多いお芋とか。
そんな料理を毎回作れない!という方も、どれかだけでも食べてみてほしいと思います。
患者さんに一番おすすめしているのは、具の多いスープ・汁ものをたくさん作っておくことです。
おだしは、無添加のものがありますから、それを使っても良いので(私も、さすがに毎日だしをとるのは無理)
洋風にするならば、玉ねぎやお肉、トマトセロリキノコなどに洋風コンソメを入れて煮ておいて、食べるときにお豆腐や卵を加えて味の変化をつけて召し上がってみてはいかがでしょうか。
和風で行くならば、和風だしでお味噌汁(具は何でもいい)、けんちん汁などにして
お醤油味でもいいですし、お味噌味でも。
中華風にしても良いと思います。
それではまた。
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